翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」

高橋翻訳事務所

分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2013/03/27
メタンハイドレード掘削試験に着手

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

「メタンハイドレート(methane hydrate)」という言葉を聞いたことはありますか。メタン分子を真ん中に置いてその周りを水分子で構成するクラスレート(clathrate)のことです。温度が低くさらに圧力が高い環境で、メタン分子を囲むように水分子が立体的な網状構造を構成して氷の結晶になっているのです。メタン燃焼時の二酸化炭素排出量は、石油や石炭の場合の約半分に収まるため、温室効果ガスの排出量を抑える上で重要なエネルギーになると期待されています。しかし残念なことに、メタンハイドレートの商業化は今のところ実現していません。

そこで独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は海底(seabed)にあるメタンガスの採掘試験を開始しました。12日にはチャーターした地球深部探査船「ちきゅう」が清水港に寄港しており、2月ごろには試験場所の愛知県渥美半島沖でガスの採掘を実施する予定です。

  メタンハイドレートの採掘事例は陸上のものに限られているため、海洋で行うのはこれがなんと世界初になります(^○^)。JOGMECにアウトソーシングしている経済産業省は、商業化を成功させて国内へ安定供給する未来像を描いています。

  深海域で高い掘削能を発揮するちきゅうは、その全長が210メートル(新幹線の約8両分で~す)、高さが130メートルに達します(30階建てのビルに相当しま~す)。

日本のエネルギー立国も夢じゃないかもしれません。


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