翻訳家によるコラム「リコールと自主回収の違い」



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2010/10/04
リコールと自主回収の違い

特急翻訳、ビジネス全般翻訳、技術全般翻訳、音楽翻訳担当の高橋です。

1 日付けのロイター( Reuters )の記事によれば、「 BMWは1日、ブレーキに問題がある可能性があるとして、世界で約 35 万台を自主回収する方針を示した。この問題による事故などは発生していないという。」と発表があり、 2 日付けの時事通信の記事によれば、「 複数のメディアは 1 日、ドイツ自動車大手 BMW がブレーキ部品の不具合により、全世界で乗用車約 35 万台のリコール(回収・無償修理)に踏み切ると報じた。」とあり、自主回収なのか、リコールかがはっきりしていないようです。

(Reuters) - BMW ( BMWG.DE ) is voluntarily recalling 350,000 cars worldwide due to a possible brake problems that the world's biggest premium carmaker said have not caused any accidents.

日本の場合の「リコール」は、安全に関わるような重大な問題について、国土交通省への届出を行うとともに、国からの指導を受けながら、回収・修理を行うというものです。

英語の場合の「 recall 」は、自主回収としても使うことがあるため、 recall とあったときすぐに「リコール」にすると、誤解を生じるため、注意が必要です。翻訳における「カタカナのずれ」でもあり、「国による法律のずれ」にもなります。

NHTSA ( NATIONAL HIGHWAY TRAFFIC SAFETY ADMINISTRATION) の英語サイトを見てみますと、 DRIVING SAFETY (安全運転)から VEHICLE SAFETY (車両の安全性)、 LAWS & REGULATIONS (法律や規制)について、さまざまな情報が記されています。

そこで見つけた少し前の 2 月 9 日付の文書です。

WASHINGTON, D.C. -- The U.S. Department of Transportation learned today of a third Toyota recall involving 2010 Prius hybrids and Lexus HS 250h vehicles experiencing brake system problems. Some 2010 Camrys prone to brake fluid leaks have also been recalled.

日英翻訳をする際、ネイティブが書くスマートな英文にどうやって近づけていくかということをずっと考えながら翻訳をしてきましたが、よい英語の表現があると真似できるようにメモを取っていくのが大切です。たとえば上の文章では、 The U.S. Department of Transportation が learned today of a third Toyota recall で、その後に involving 2010 Prius hybrids と続き、日本語をそのまま訳してしまった場合にありがちな、受け身の多用や関係詞で長くなってしまうということがなく、やはりネイティブが最初から英語で書いた文章はすっきりしていて、全体として短くまとまっています。 experiencing のところも英語的にすっきりさせるためによいつなげ方ですね。背景知識を増やすだけでなく、ネイティブのように洗練された (sophisticated) 簡潔な (concise) 英文を書くため、常に情報収集をしていきたいと思います。


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